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2026-02-23

【HubSpot】複数行プロパティの改行が潰れるときの対処法

HubSpotでは、コンタクトや会社などのオブジェクトに対して、複数行テキストのプロパティを作成できます。
例えば、次のような用途で使われることが多いはずです。

  • 問い合わせフォームの「問い合わせ内容」
  • アンケートの自由記述
  • インサイドセールスから営業への引き継ぎコメント など

入力画面上では、当然ながら改行を含んだメモとして保存されます。
ところが、このプロパティを内部通知メール本文に差し込むと、こんな問題が起こります。

  • メール上では改行がすべて消え、1行に詰まって表示されてしまう
  • 長文のメモほど、非常に読みづらくなる
  • 営業側・受信側から「読みにくい」「どこが区切りかわからない」とフィードバックが出る

テキストエディタではきれいに段落分けされているのに、メールでは一続きの文章に見えてしまう――。
このギャップが、現場のストレス要因になりがちです。

一体なぜ?

技術的な細かい話は省きますが、ざっくりいうと次のような仕組みです。

  • メールのHTMLでは、改行や連続スペースは「1つのスペース」として扱われやすい
  • HubSpotのリッチテキストモジュールも、標準状態ではその挙動に沿ってレンダリングされる

そのため、複数行プロパティの「見た目の改行」が、HTML上のスペースとしてまとめられてしまい、
結果としてメール上では改行がなくなったように見えます。

よくある解決案と、その課題

この問題に対して、よく検討される案を先に整理しておきます。

1. HTMLモジュール+パーソナライズトークンで頑張る案

  • HTMLモジュールの中で <pre>white-space を指定すれば解決できそうに見える
  • 実際には「HTMLモジュールではパーソナライズトークンが利用できない」という制約がある

そのため、

「技術的には分かっているのに、HubSpotの仕様上その書き方ができない」

という行き詰まり方をしがちです。

2. ワークフロー+カスタムコードでプロパティを加工する案

  • ワークフローで複数行プロパティを受け取り、改行コードを <br> に置換して別プロパティへ保存する
  • メール側では、その「加工済みプロパティ」を差し込む

メリット

  • 表示内容を細かく制御できる
  • 他の用途(レポートなど)にも流用しやすい場合がある

デメリット/ハードル

  • Operations Hub(カスタムコードアクション)が必要になることが多い
  • 既存ワークフローへの影響や、管理すべきプロパティ数が増え、運用負荷が上がる
  • メール編集だけで完結しないため、運用担当者だけで対処しづらい

今回のケースでは、これらの理由から「現実的ではない」と判断した前提とします。

3. プロパティを行ごとに分割する案

  • 「行1」「行2」「行3」…といった形で、フィールド自体を複数用意する
  • メールではそれぞれのプロパティを別行に差し込む

メリット

  • 仕組みがシンプルで分かりやすい
  • HubSpotの標準機能だけで実現可能

デメリット

  • 入力側の負担が増える(毎回プロパティを複数埋める必要がある)
  • 行数が可変なメモには対応しづらい(「4行以上の場合どうする?」という問題)
  • 既に複数行プロパティを運用している場合、移行コストがかかる

今回採用した解決策:リッチテキスト内の「preブロック」を使う

上記の案を検討した結果、よりシンプルで運用しやすい方法として採用したのが、

リッチテキストモジュール内で「pre(整形済みテキスト)」スタイルを使う

という方法です。

preブロックとは何か

<pre> タグ(preformatted text)は、元のテキストの改行やスペースを「そのまま表示する」ためのHTML要素です。

  • 通常のテキスト:
    • 改行や連続スペースは 1つのスペースとしてまとめられる
  • <pre> 内のテキスト:
    • 改行もスペースも、入力した通りに表示される

CSSでいうと white-space: pre; に近い挙動になります。
この性質を利用すると、複数行プロパティの改行をほぼそのままメール上で再現できます。

HubSpotのリッチテキストでpreが使えた

HubSpotのメールエディタでは、リッチテキストモジュール内でテキストのスタイルを選択できます。
通常は「段落」「見出し」などしか使わないかもしれませんが、環境によってはこの中に

  • pre
  • 整形済みテキスト

といった選択肢が含まれていることがあります。

この「preスタイル」を、複数行プロパティを差し込んだテキストに適用することで、
HTMLモジュールもカスタムコードも使わずに、改行を維持した表示が実現できました。

手順:HubSpotメールでpreブロックを設定する流れ

実際の設定手順を、できるだけシンプルに整理します。

1. メールテンプレートの編集画面を開く

  1. HubSpotのメインメニューから「マーケティング」→「Eメール」を選択
  2. 対象となるメール(またはテンプレート)を選び、「編集」をクリック

2. リッチテキストモジュールを追加/選択する

  • 本文中で、複数行プロパティを差し込みたい位置にリッチテキストモジュールを配置
  • 既にあるテキストブロックを流用する場合は、そのブロックを選択する

3. 複数行プロパティのパーソナライズトークンを挿入

  1. リッチテキストモジュール内でカーソルを置く
  2. 「パーソナライズ」ボタン(もしくは「パーソナライズトークン挿入」)をクリック
  3. 該当の複数行プロパティ(例:商談メモ)を選択して、本文に差し込む

エディタ上には、例として
{{ contact.商談メモ }}
のような形でトークンが表示されます。

4. 差し込んだトークンに「pre」スタイルを適用

  1. 差し込んだトークン全体をドラッグして選択
  2. エディタのスタイルメニュー(段落/見出しを選ぶプルダウン)を開く
  3. 一覧の中から「pre」または「整形済みテキスト」に相当する項目を選択

※環境によっては英語表記(Preformatted など)になっている場合があります。

5. プレビュー/テスト送信で表示を確認

  • 右上の「プレビュー」または「テスト送信」機能を使い、実際のメール表示を確認する
  • 対象コンタクトを指定してテスト送信し、複数行プロパティに改行が含まれる状態でテストする
  • 受信したメールで、メモの改行がそのまま再現されているかをチェック

問題なく表示されていれば、このテンプレートを本番配信に利用できます。

preブロックを使うメリットとデメリット

メリット

  1. 改行がそのまま維持される
    • 元のメモと同じ改行位置でメールに表示されるため、情報が読み取りやすい
    • 営業側も「メモのどこまでが1つのトピックか」理解しやすくなる
  2. テンプレート編集だけで対応できる
    • HTMLモジュールやカスタムコードを追加する必要がない
    • ワークフローの改修や、新しいプロパティ設計も不要
  3. 既存運用への影響が小さい
    • 複数行プロパティの構造を変えずに済む
    • 既に入力されているメモも、そのまま活かせる

デメリット・注意点

  1. 等幅フォントになる場合が多い
    • preスタイルは、環境によって等幅フォントで表示されることがある
    • メール全体の雰囲気と少し異なる印象になる可能性がある
  2. 折り返しの挙動が通常テキストと違う場合がある
    • 文面の長さや画面幅によっては、横スクロールが出たり不自然な折り返しになるケースもある
    • 特に長文メモが入りやすいプロパティでは、事前テストが重要
  3. 使いどころを限定しないとレイアウトが崩れたように見える
    • 本文全体をpreにしてしまうと、デザイン性が損なわれる
    • あくまで「メモ部分」「ログ部分」など、範囲を絞って適用するのが現実的

実運用でのポイントとルール化のすすめ

preブロックは便利ですが、運用ルールなしに使うと、いつの間にか元に戻されてしまったり、
想定外の場所で使われてレイアウトが崩れるリスクがあります。以下の観点で整理しておくと安全です。

1. preを使う箇所を明確に決める

  • 例:
    • 「インサイドセールス → 営業引き継ぎ」のメモ部分
    • 「コールログの要点」のみ
  • それ以外の文章は通常の段落スタイルを使う

これをテンプレート名・説明欄・社内ドキュメントに明記しておきます。

2. 編集時の注意事項をテンプレート内にメモしておく

  • エディタ上のコメントや、テンプレートの説明欄に
    • 「このブロックのトークンはpreスタイルにしておくこと」
    • 「スタイルを変更すると改行が潰れるため注意」
      といったメモを残しておく

後からテンプレートを触るメンバーにも意図が伝わりやすくなります。

3. 大量配信前のテストフローに「改行確認」を含める

  • 通常の件名・リンク確認に加えて、
    • 「複数行プロパティの改行が正しく表示されているか」をチェック項目に追加
  • 特にテンプレートを修正した直後は、必ずテスト送信で確認する

まとめ:ツールの制約の中でも「現実解」を探す

複数行プロパティの改行が潰れてしまう問題は、
一見すると「仕様だから仕方ない」と片付けられがちです。

しかし実際には、

  • HTMLモジュールでの制約
  • リッチテキストでの制約

といった条件を一つずつ洗い出し、その中で「UI上から選べるスタイル」を組み合わせることで、
今回のように テンプレート編集だけで実務上十分な解決策 を見つけられるケースがあります。

もし同じような課題に直面している場合は、まずは一度、
リッチテキストモジュールのスタイルメニューに「pre」や「整形済みテキスト」がないか確認してみてください。

  • 利用可能であれば、本記事の手順で簡単にテストできます
  • 利用できない場合でも、「どの制約で止まっているのか」をチーム内で共有することで、
    別の解決案(ワークフローやプロパティ設計の見直し)へと議論を進めやすくなります

エディタの制約に振り回されるのではなく、
その制約を踏まえたうえで「現場が使える形」に落とし込んでいくことが、
マーケ/インサイドセールスの運用改善では重要だと感じています。

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