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HubSpot無料CRMでどこまでできる?機能と限界を正直に解説
「HubSpotの無料CRM、結局どこまで無料で使えるの?」——コストをかけずにCRMを試したい中小企業の経営者や営業マネージャーなら、一度は引っかかった問いではないでしょうか。やっかいなのは、ネット上に「ユーザー無制限」「コンタクト100万件」「無料でも自動でフォローメールが飛ぶ」といった古い・盛られた情報がいまだ残っていること。2026年時点の実際の無料枠は、それとはかなり違います。
結論から言えば、HubSpotの無料CRMは永年無料で、少人数なら営業の基本が一通り回る実用的な土台です。ただし明確な上限があり、チームが大きくなるとどこかで必ず詰まります。この記事を読めば、何ができて何ができないかを正確につかみ、自社なりの「無料の判断軸」を持てるようになります。
HubSpotの無料CRMとは?(永年無料・最大2名・コンタクト1,000件)
HubSpotの無料CRMは、クレジットカード不要で使える、期限のない「永年無料」の製品です。30日間などの無料トライアルではありません。ただし使える人数は最大2ユーザー、登録できるコンタクト(連絡先)は最大1,000件まで、という上限があります。
HubSpotは、Smart CRM(スマートCRM)という共通の顧客データ基盤の上に、Marketing・Sales・Service・Content・Data・Revenue という6つのHub(ハブ)が乗る構造です。無料プランでは、各Hubの「無料ツール」をひととおり使えます。営業支援(SFA)として何ができるかは、別記事「HubSpotのSFAとは?」もあわせてどうぞ。
誤解しやすいのが、ストレージとコンタクト件数の違いです。顧客データを保存するストレージ自体に容量上限はありませんが、コンタクトのレコードは1,000件まで。ここを混同すると「無料でも青天井に使える」と思い込みがちなので注意してください。これは「とりあえずのお試し」ではなく「ずっと使い続けられる製品の一部」だ、という点が出発点になります。
無料プランで使える機能の全体像
無料プランでも、「リード獲得→商談管理→フォロー→成約」という営業の基本フローは、手動運用を前提とすれば一通り回せます。スプレッドシート管理から脱却する最初の一歩としては、十分に実用的です。
無料で使える主な機能は次のとおりです。
- コンタクト・会社・取引(Deals)の管理、取引パイプライン1本
- タスク/アクティビティ管理
- Eメールの送信&追跡(開封通知は月200件まで)、Gmail/Outlook連携による送受信の自動ログ
- ミーティングの日程調整(個人ミーティングリンク1個)
- ライブチャット、フォーム、簡易レポート(ダッシュボード10個/1ダッシュボードあたりレポート50個)
- 名刺スキャナー、モバイルアプリ(iOS/Android)
- CMSの無料枠(ランディングページ最大30・ウェブサイトページ最大30、ホスティング込み)
Eメールテンプレートは3個、スニペット(定型文の断片)は3個まで。あるにはありますが、数が絞られている点はあとの制限の章で詳しく触れます。
無料でレポートはどこまで作れる?
無料プランのレポートは、標準テンプレート中心のダッシュボードを最大10個まで。1ダッシュボードにレポートを50個まで載せられるので、パイプラインの金額や件数、担当別の状況といった基本的な可視化には十分です。ただし、項目を自由に組み合わせるカスタムレポートは無料では作れません。用意された型に沿って見る、という割り切りが必要です。
無料プランの主な制限(ここで詰まる)
無料プランで本当に効いてくる「致命的な制約」は2つあります。1つ目は、無料ユーザーが最大2名までという点。5〜10人の営業チーム全員が同時に使うことはできません。2つ目は、ワークフローやシーケンスといった本格的な自動化が無いこと。※無料でもフォーム送信後の自動メール1通(Form automation)と自動アクション1個(Email automation)は利用可能です。
フォローは原則すべて手作業です(タスクでリマインドは出せますが、メールの自動送信はできません)。
この2つに比べると、後で出てくる「取引パイプライン1本」などは、初期設計の工夫で吸収できる制約です。まずは「2名」と「自動化なし」が無料の本質的な天井だと押さえてください。
主な数値上限を整理すると次のとおりです。
- ユーザー:最大2名
- コンタクト:最大1,000件
- カスタムプロパティ:アカウント合計10個(オブジェクト別ではなく総数)
- 取引パイプライン:1本
- Eメールテンプレート:3個/スニペット:3個
- 個人ミーティングリンク:1個(HubSpotブランディング付き)
- Eメール開封追跡通知:月200件
- マーケティングメール送信:暦月あたり2,000通(HubSpotのロゴ付き・除去不可)
- フォーム自動化:フォーム1件につき自動メール1通+自動アクション1個のみ
- 共有受信トレイ:1個(ライブチャットはHubSpotブランディング付き、チャットボットは定型用途のみ)
サポートも、無料ではナレッジベースとコミュニティの利用に限られます。チャット・メール・電話といった人的サポートはStarter以上から。重複データを手動でまとめて管理するツールも上位プランの機能で、無料では「入力時に重複を防ぐ」運用が中心になります。
ブランディングについても、フォームやライブチャット、1対1のメールなど一部は無料でもロゴを消せますが、マーケティングメール・ランディングページ・ミーティングリンクなどはロゴ付きのまま。除去はできません。
ネットの「無制限」「100万件」は本当?
どちらも、今は正確ではありません。「ユーザー無制限」は、2024年3月にシート(席)単位の課金へ移行する前の古い情報で、正しくは無料は最大2名です。「コンタクト100万件」も誤解で、100万件はコンタクト以外のレコードの上限であり、コンタクトそのものは1,000件まで。「無料でも自動でフォローメールを送れる」も誤りで、自動化機能は無料に含まれません。古い情報のまま判断すると、使い始めてから「思っていたのと違う」となりがちです。
5〜10人の営業チームは無料でどう使う?(まずは2名で試す)
ここで前提をはっきりさせておきます。無料で正式に使えるアカウントは2名分です。ですから5〜10人のチームでの現実的な始め方は、「全員で一斉に運用する」のではなく、営業マネージャーと担当者の2名を軸に試験運用し、CRMの効果を確かめることになります。この前提で、各フェーズの役割分担を考えるとうまくいきます。
- 獲得・一次対応は仕組みで受ける:フォームとライブチャットで問い合わせを受け、コンタクトを自動作成。問い合わせは1個の共有受信トレイに集約し、人手をかけずに入口をそろえます。
- 商談以降に人手を集中する:見込み客を「取引」化し、唯一の1本のパイプラインで進捗を可視化。各取引にタスクを紐づけ、誰が次に何をするかを明確にします。
- フォローは手動を前提に効率化する:共有のミーティングリンクで日程を調整し、テンプレートとスニペットで返信を時短。開封通知で反応を見て、手動で追客タスクを立てます。外出先ではモバイルアプリと通話ログが使えます。
- 成約状況は数字で共有する:取引のステージを更新し、ダッシュボードで金額・件数・担当別の状況を朝会で確認します。
問題は「どこで詰まるか」です。3人目の営業を正式アカウントで入れた瞬間に2名上限で止まります。自動化が無いため、人数が増えるほど手作業のフォローが破綻していきます。テンプレート3個・スニペット3個・ミーティングリンク1個といった数の上限も、チームで共有するとあっという間に枯渇します。
整理すると、無料が向く会社は「代表者と営業責任者が中心になって案件を管理する」「まずスプレッドシート脱却を体験したい」ケース。逆に向かない会社は「各営業が自分で案件を更新する全員運用をしたい」「フォローを自動化したい」ケースです。スプレッドシート管理からCRMへ移るときの考え方は、アイオースポーツマッサージ湘南様の導入事例の文脈でも参考になります。無料CRMも、まずは「入力先をそろえる」「案件の状態を見える化する」土台づくりとして捉えるのが現実的です。
無料のうちにやるべき初期設定(自走化の肝)
無料運用のコツは、「無料では後から増やせないもの」を先に決めることです。とりわけ重要なのが、1本しかない取引パイプラインのステージ設計です。新しいパイプラインの追加は有料機能。だからこそ最初の1本を「全商材で共通して使える普遍的な営業ステップ」で設計し、商材の区別はプロパティで持たせるのがコツです。
目安になるのが、デフォルトの7ステージ(例:アポ設定20%→見込み確度確認40%→プレゼン設定60%→決裁者合意80%→契約送付90%→成約100%/失注0%)です。レポートを正しく出すために、成約(100%)と失注(0%)のステージは必須。ステージは増やしすぎず、最初の運用確認期間として30日ほど使い、四半期ごとに見直して固定していくのがおすすめです。
次に、カスタムプロパティはアカウント合計で10個まで。まずは標準プロパティで代用できないかを確認し、足りない分だけをカスタム化します。経営者と営業マネージャーで「絶対に必要な10個」を先に合意しておけば、後で枠を浪費せずに済みます。
重複防止も無料運用の死活問題です。コンタクトはメールアドレス、会社はドメインで自動マッチングされます。無料では重複をまとめて掃除する手動ツールが使えないぶん、決定的に効くのが「入力時の予防」——メールアドレスを必須にする、一意の値を持つプロパティを設定する、です。データが汚れる原因と対策は弊社ブログの「HubSpotが「ゴミ箱」化するのを防ぐ5つの習慣」をご参考にしてください。
最後に、ユーザーの招待と保存ビューの標準化です。「自分の今月の取引」「未対応リード」といったビューを最初に整えておくと、チームの目線がそろいます。設定手順は「HubSpotで保存済みビューを作成・管理する方法」で詳しく解説しています。
こうした初期設計を雑に済ませると、後で有料プランへ上げるか判断するときに「そもそも何が課題なのか」が見えず、困ることになります。無料のうちにこそ、土台を丁寧に作っておく価値があります。
無料から有料へアップグレードすべきタイミング
「こうなったら有料」というトリガーは、次のように整理できます。
- 営業が3人以上になった(無料2名の上限を超える)
- 手作業のフォローが回らない(メールシーケンスや簡易ワークフローが欲しい)
- HubSpotのロゴを外したい(顧客に見せるチャット・ミーティング・メール)
- 営業フローが複数必要になった(パイプライン1本→2本)
- 簡易レポートでは足りない(カスタムレポートが欲しい)
- テンプレート/スニペット3個では足りない
- 人的サポートを受けたい
無料の「次」にあたるのは、各HubのStarter、または機能をまとめて使えるStarter Customer Platformです。5〜10人規模のチームには、後者が最適なケースが多いでしょう。
価格はシート(ユーザー)単位の月額です。Starter Customer Platformなら、1シートあたり月額20ドル(米ドル基準)が目安。日本円では1ユーザーあたり月額数千円程度からが目安ですが、2026年時点での正確な金額は公式の料金ページでご確認ください。なお、新規契約向けの期間限定割引は恒久的な価格ではない点にも注意してください。いつ有料へ上げるかは、チームの成長ステージと照らすと考えやすくなります。「成長ステージごとのSFA/MAとの付き合い方」もあわせてどうぞ。
よくある質問(FAQ)
- Q. HubSpotの無料はいつまで使える?
期限はありません。永年無料で使い続けられます。
- Q. 無料は何人まで使える?
最大2名までです。
- Q. コンタクトは何件まで登録できる?
最大1,000件までです。
- Q. 無料でも自動でフォローメールは送れる?
ワークフローやシーケンスによるフォローメールは送れません。フォーム送信後の自動メール(1通のみ)は可能ですが、それ以外は手動運用が前提です(タスクでリマインドを立てることは可能です)。
- Q. HubSpotのロゴは消せる?
フォームなど一部は消せますが、マーケティングメール・ランディングページ・ミーティングリンクは消せません。
- Q. クレジットカードの登録は必要?
不要です。
まとめ
HubSpotの無料CRMは、永年無料で少人数なら営業の基本が一通り回る実用的な土台です。ただし、無料ユーザーは最大2名、自動化なしという本質的な限界があり、取引パイプラインが1本である点も初期設計で工夫しておきたいところ。だからこそ、無料のうちにパイプライン設計とプロパティ整理を正しく済ませておくことが、長く使い続けるための肝になります。
まずは無料で始め、限界が見えてきたら有料プランや外部の支援を検討する——これが現実的な進め方です。私たちはSalesforceとHubSpotの両方の認定パートナーとして、どちらにも偏ることなく、御社の規模や要件に合った選び方を中立に無料でご相談いたします。CRM選びで迷ったときの選択肢の一つとして、心に留めておいていただければ幸いです。
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